お墓の継承者がいない、あるいは遠方に住んでいて管理が難しいといった理由から、墓じまいを検討する方が増えています。しかし、いざ考え始めると、費用 相場はどのくらいか、複雑な手続きをどう進めればよいのか、親族間でのトラブルは起きないか、といった多くの不安が頭をよぎるのではないでしょうか。
安易な決断は、後で取り返しがつかない失敗や後悔に繋がりかねません。だからこそ、墓じまいのメリット デメリットを冷静に比較し、誰に相談すべきかを見極めることが大切です。
この記事では、「墓じまいが必要か」という切実な疑問を抱えるあなたのために、判断の拠り所となる客観的な情報を提供します。現状を正しく理解し、ご自身とご家族にとって最善の選択をするための一助となれば幸いです。
- 墓じまいが必要なケースと不要なケースが分かる
- お墓を放置した場合の具体的なリスクを理解できる
- 墓じまいの手順や費用、注意点が明確になる
- 後悔しないための判断基準と供養の選択肢が学べる
墓じまいが必要か迷う前に知るべきこと

- 墓じまいとは?基本的な意味と流れ
- 墓じまいが増加している社会的な背景
- 墓じまいはしなくても大丈夫なケースとは
- お墓を放置、しないとどうなるのか?
- お墓の放置が良くないと言われる理由
- お墓の放置と法律上の関係性について
墓じまいとは?基本的な意味と流れ
墓じまいとは、現在使用しているお墓の墓石を解体・撤去して更地にし、その土地の使用権を墓地の管理者へ返還することを指します。そして、取り出したご遺骨を、別の納骨先に移して供養し直す一連の行為全体を含めて「墓じまい」と呼びます。これは、ご遺骨の「お引越し」とも言えるでしょう。
この手続きは、法律上「改葬(かいそう)」と呼ばれ、勝手に行うことはできません。現在のお墓がある市区町村の役場で「改葬許可」を得る必要があります。
墓じまいが完了するまでの大まかな流れは、以下のようになります。
- 親族間で話し合い、合意を得る
- ご遺骨の新しい受け入れ先(改葬先)を決める
- 現在のお墓の管理者(お寺や霊園)に墓じまいの意向を伝える
- 行政手続き(改葬許可申請)を行う
- 閉眼供養(魂抜き)を行い、ご遺骨を取り出す
- 墓石を解体・撤去し、墓地を更地にして返還する
- 新しい受け入れ先にご遺骨を納骨する
このように、墓じまいには多くの手順が伴うため、計画的に進めることが大切になります。
墓じまいが増加している社会的な背景
近年、墓じまいを選択する人が増えている背景には、日本の社会構造の変化が大きく影響しています。
最大の要因は、少子高齢化と核家族化の進行です。子どもがいない、あるいは一人っ子である家庭が増え、お墓を継承する人がいなくなってしまうケースが深刻化しています。また、子どもがいても、進学や就職を機に故郷を離れ、都市部で生活基盤を築くことが一般的になりました。このため、お墓と住まいが物理的に遠く離れてしまい、定期的なお墓参りや清掃といった管理が困難になるのです。
さらに、価値観の多様化も無視できません。「子どもにお墓の管理で負担をかけたくない」と考える親世代が増えていることも、墓じまいを後押ししています。お墓は「家」という単位で継承するものという従来の考え方から、個人のライフスタイルに合わせた供養の形を重視する考え方へと変化してきているのです。
これらの理由から、お墓を維持することが現実的でない、あるいは精神的な負担になると感じる人々にとって、墓じまいが現実的な選択肢として浮上しています。
墓じまいはしなくても大丈夫なケースとは
墓じまいを検討する人が増えている一方で、必ずしも全ての人が墓じまいをしなければならないわけではありません。いくつかの条件が満たされているのであれば、現状のお墓を維持し続けることも立派な選択肢です。
まず、お墓の管理や供養を継続的に行える環境にある場合です。例えば、お墓の近くに住んでおり、定期的にお参りや清掃ができる、あるいは管理を安心して任せられる親族がいるケースがこれにあたります。
次に、経済的な負担が問題にならないことも大切です。お墓を維持するためには、年間管理費の支払いが必要不可欠です。この費用を将来にわたって無理なく支払い続けられる見通しが立っているのであれば、急いで墓じまいをする必要はないと考えられます。
そして何よりも、親族全員がお墓の現状維持を望み、その方針に合意していることが重要です。誰か一人に負担が偏ることなく、皆で協力してお墓を守っていく体制が整っているならば、お墓は家族の絆を繋ぐ大切な場所としてあり続けるでしょう。
これらの点を踏まえ、ご自身の状況を客観的に見つめ直すことが、墓じまいをしないという判断を下す上での第一歩となります。
お墓を放置、しないとどうなるのか?
お墓の継承者がいなくなったり、管理が困難になったりした結果、お墓を放置してしまうと、最終的には「無縁仏(むえんぼとけ)」として扱われ、強制的に撤去されてしまう可能性があります。
具体的には、お墓の年間管理費が支払われない状態が続くと、墓地の管理者(寺院や霊園)は、墓地の使用者に支払いを求める連絡を試みます。しかし、連絡が取れない、あるいは支払いに応じてもらえない場合、管理者は法的な手続きに移行します。
この手続きは「墓地、埋葬等に関する法律」の規定に則って行われます。まず、墓地の見やすい場所に立て札を設置し、1年間、墓地使用者などからの申し出を待つ旨を告知します。同時に、その旨を官報にも掲載して広く知らせます。
この1年間の告知期間中に、使用者や縁故者から何の連絡もなければ、墓地の管理者はそのお墓を無縁墓とみなし、墓石を撤去する権利を得ます。墓石は処分され、中にあったご遺骨は取り出されて、他の多くの無縁仏と一緒に合祀墓(ごうしぼ)などにまとめて埋葬されるのが一般的です。
一度合祀されてしまうと、他の人のご遺骨と混ざってしまうため、特定のご遺骨だけを取り出すことは二度とできなくなります。大切なご先祖様を無縁仏にしないためにも、管理が難しいと感じた時点で、放置するのではなく、適切な対応を検討することが求められます。
お墓の放置が良くないと言われる理由
お墓の放置が良くない理由は、単に無縁仏になってしまうリスクがあるからだけではありません。そこには、物理的な問題から人間関係に至るまで、いくつかの深刻な理由が存在します。
第一に、景観や衛生上の問題です。放置されたお墓は雑草が生い茂り、墓石には苔やカビがびっしりと付着します。ひどい場合にはゴミが不法投棄されることもあり、墓地全体の美観を損ねてしまいます。これは、周囲で真面目にお墓参りをしている他の使用者にとって、非常に不快な状況です。
第二に、安全上のリスクが挙げられます。長年放置された墓石は風雨にさらされ、劣化が進みます。基礎が緩んだり、石材にひびが入ったりして、地震や台風などの自然災害をきっかけに倒壊する危険性も否定できません。もし倒壊して隣のお墓を傷つけたり、お参りに来た人に怪我をさせたりすれば、大きなトラブルに発展しかねません。
第三に、親族間の関係悪化の火種になることです。誰かが管理してくれるだろうと互いに押し付け合った結果、お墓が荒れ果ててしまった場合、「なぜ管理しないのか」と親族間で感情的な対立が生まれることがあります。先祖を敬うべきお墓が、かえって親族の不和の原因になってしまうのは、非常に悲しい事態です。
これらの理由から、お墓の放置は避けるべきであり、管理できないのであれば、正式な手続きを踏んで墓じまいをすることが、周囲の人々や親族、そしてご先祖様に対する責任ある行動と言えるかもしれません。
お墓の放置と法律上の関係性について
お墓を放置してしまった場合、その行為自体を直接罰する法律や罰則は、現在の日本には存在しません。つまり、「お墓を放置したから逮捕される」あるいは「罰金が科される」といったことはありません。
しかし、前述の通り、「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」が間接的に深く関わってきます。この法律は、国民の宗教的感情に配慮しつつ、公衆衛生やその他の公共の福祉の見地から、埋葬や火葬、そして墓地に関するルールを定めています。
お墓の放置においてこの法律が関わるのは、墓地の管理者が「無縁墳墓(むえんふんぼ)」の整理を行う場面です。墓埋法の施行規則では、管理費の滞納などにより事実上放置されているお墓(無縁墳墓)を、管理者が合法的に整理・撤去するための手続きが定められています。官報への掲載や立て札による1年間の告知といったプロセスは、この法律に基づいています。
つまり、法律は放置した使用者を罰するのではなく、墓地という公共性の高い空間を適切に維持管理するために、管理者側に一定の権限を与えているのです。墓地の使用契約は、土地の所有権を買うものではなく、あくまで「永代にわたって使用する権利(永代使用権)」を得る契約です。管理費の支払いを怠ることは、契約違反にあたり、この使用権を失う原因となり得ます。
したがって、直接的な罰則がないからといって放置して良いわけではなく、契約上の義務を果たせないのであれば、法的な手続きに則って墓じまい(改葬)を進めることが正しい対応となります。
墓じまいが必要か判断するためのポイント

- 墓じまいのメリットとデメリットを比較
- 墓じまいで後悔しないための注意点
- 親族との間で起きやすいトラブルと対策
- 墓じまい後の供養方法の種類と選び方
- 永代供養という墓じまい以外の選択肢
- 改葬許可申請の手続きと流れを知る
- 最終判断、墓じまいが必要か考えるために
墓じまいのメリットとデメリットを比較
墓じまいが必要かどうかを冷静に判断するためには、そのメリットとデメリットの両方を正確に理解し、ご自身の状況と照らし合わせて比較検討することが不可欠です。一方の側面だけを見て決断すると、後悔に繋がる可能性があります。
主なメリットとデメリットは、以下の表のように整理できます。
項目 | メリット | デメリット |
管理・負担 | ・お墓の清掃や管理の手間がなくなる ・将来の子どもや孫への負担をなくせる | ・親族間の話し合いや合意形成に手間がかかる ・行政手続きや寺院との交渉が煩雑な場合がある |
費用 | ・将来にわたって発生する年間管理費が不要になる | ・墓石の撤去費用など、一度に高額な費用がかかる ・離檀料(お寺から離れる際の御布施)が必要な場合がある |
精神面 | ・お墓を維持できないという精神的な重圧から解放される | ・手を合わせる対象がなくなり、寂しさを感じる場合がある ・親族から反対され、精神的なストレスを感じることがある |
供養 | ・よりお参りしやすい場所に移せる ・ライフスタイルに合った供養方法を選べる | ・合祀墓などにすると、ご遺骨を個別に取り出せなくなる |
このように、墓じまいは管理の負担や将来の費用をなくせるという大きなメリットがある一方で、高額な初期費用や親族との調整という無視できないデメリットも存在します。これらの点を総合的に評価し、ご家族にとってどちらの比重が大きいかを慎重に考えることが、後悔のない選択への鍵となります。
墓じまいで後悔しないための注意点
墓じまいを「やってよかった」と心から思えるようにするためには、いくつか押さえておくべき重要な注意点があります。これらを事前に把握し、対策を講じることが、失敗や後悔を防ぐための最大の防御策となります。
親族への事前相談と合意形成を徹底する
最も重要なのが、親族とのコミュニケーションです。お墓は個人の所有物ではなく、一族の共有財産という側面を持ちます。自分ひとりの判断で話を進めてしまうと、「なぜ相談してくれなかったのか」と深刻なトラブルに発展しかねません。墓じまいを考え始めたら、できるだけ早い段階で関係する親族全員に意向を伝え、話し合いの場を設けましょう。反対意見が出た場合も、感情的にならずに、なぜ墓じまいが必要なのか、その理由を丁寧に説明する姿勢が大切です。
費用に関する詳細な見積もりを取る
墓じまいには、墓石の撤去費用、閉眼供養のお布施、新しい納骨先の費用など、様々なコストが発生します。特に墓石の撤去費用は、墓地の立地(重機が入れるかなど)によって大きく変動します。必ず複数の石材店から相見積もりを取り、費用の内訳を詳細に確認してください。また、お寺の檀家である場合は、離檀料が必要になるかも事前に確認しておくと安心です。総額でどのくらいかかるのか、現実的な資金計画を立てることが不可欠です。
新しい納骨先を先に見つけておく
墓じまいの行政手続きである「改葬許可申請」では、ご遺骨の新しい受け入れ先が決まっていることを証明する「受入証明書(永代使用許可証など)」の提出を求められることがほとんどです。そのため、お墓の撤去を始める前に、必ず次の納骨先を探し、契約を済ませておく必要があります。供養方法の種類や費用、立地などを比較検討し、納得のいく場所を選びましょう。
これらの注意点を一つひとつ丁寧に進めることが、円満な墓じまいを実現する道筋となります。
親族との間で起きやすいトラブルと対策
墓じまいはデリケートな問題であり、残念ながら親族間のトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。しかし、事前に典型的なトラブル事例とその対策を知っておくことで、多くの対立は回避できます。
よくあるトラブル事例
- コミュニケーション不足による対立: 「何の相談もなく勝手に決めた」という不満が最も多いトラブルの原因です。特に、普段あまり付き合いのない遠方の親戚などが、話を聞いていなかったとして後から強く反対することがあります。
- 費用負担を巡る金銭トラブル: 墓じまいにかかる費用を誰がどれだけ負担するのかで揉めるケースです。「長男が全額出すべきだ」「兄弟で均等に割るべきだ」など、それぞれの立場や考え方の違いから対立が生まれます。
- 墓じまいの是非に関する意見の対立: 「先祖代々のお墓をなくすなんてとんでもない」という感情的な反対や、宗教・慣習上の考え方の違いから、墓じまいそのものに賛成できない親族がいる場合です。
- 新しい供養方法への不満: 永代供養や樹木葬、散骨といった新しい供養方法に対して、「そんな供養の仕方ではご先祖様が浮かばれない」といった理解が得られないケースもあります。
トラブルを避けるための対策
これらのトラブルを防ぐためには、透明性の高いコミュニケーションが鍵となります。
まず、墓じまいを検討する初期段階で、関係する可能性のある親族全員に連絡を取り、話し合いの機会を設けることが最も重要です。たとえ費用を主に負担するのが自分だとしても、「相談」という形を取ることで、相手の気持ちを尊重する姿勢を示すことができます。
話し合いの場では、なぜ墓じまいを考えるに至ったのか、その背景(管理の困難さなど)を丁寧に説明します。そして、かかる費用の見積もりや、検討している新しい供養先の資料など、具体的な情報を全て開示し、全員で共有することが大切です。
反対意見が出た際には、頭ごなしに否定するのではなく、まずは相手の気持ちや考えを真摯に受け止めましょう。その上で、お墓をこのまま維持し続ける場合の将来的なリスクや負担についても説明し、代替案も含めて一緒に最善策を探していくという協力的な姿勢を見せることが、合意形成への近道となります。
墓じまい後の供養方法の種類と選び方
墓じまいをした後のご遺骨の供養方法は、もはや従来のお墓だけではありません。現代のライフスタイルや価値観に合わせて、多様な選択肢が生まれています。ご自身やご家族が納得でき、心を込めて供養し続けられる方法を選ぶことが大切です。
永代供養墓
寺院や霊園が、遺族に代わって永続的にご遺骨の管理と供養を行ってくれるお墓です。一定期間は個別に安置され、その後は他のご遺骨と一緒に合祀(ごうし)されるタイプが一般的です。継承者がいなくても無縁仏になる心配がないという大きな安心感があります。
納骨堂
主に屋内に設けられた、ご遺骨を納めるための施設です。天候に左右されずにお参りできるのが魅力です。ロッカーのように個別のスペースが並ぶ「ロッカー式」、仏壇と納骨スペースが一体になった「仏壇式」、カードキーをかざすと参拝ブースにご遺骨が自動で運ばれてくる「自動搬送式」など、様々な形態があります。
樹木葬
墓石の代わりに、樹木や草花を墓標としてご遺骨を埋葬する方法です。「自然に還りたい」という志向を持つ方に人気があります。一本の大きなシンボルツリーの周りに共同で埋葬するタイプや、区画ごとに個別の木を植えるタイプなど、霊園によって形式は様々です。
散骨
ご遺骨を2mm以下のパウダー状に粉骨し、海や山、空などに撒いて自然に還す方法です。法律で禁止されているわけではありませんが、行う場所や方法には節度と配慮が求められます。自治体の条例で禁止されているエリアもあるため、専門の事業者に相談して、ルールを守って行う必要があります。
手元供養
ご遺骨の全て、あるいは一部を、自宅などに置いて供養する方法です。小さな骨壷や、ご遺骨を加工して作られたペンダントなどのアクセサリーに入れて、故人を身近に感じながら過ごすことができます。
これらの選択肢から最適なものを選ぶためには、「費用はどのくらいか」「お参りはしやすいか」「宗教・宗派は問われるか」「親族は納得してくれるか」といった点を総合的に検討することが鍵となります。
永代供養という墓じまい以外の選択肢
「永代供養」という言葉は、墓じまい後の新しい供養先として語られることが多いですが、実は「今あるお墓」の継承問題を解決するための一つの方法にもなり得ます。つまり、必ずしも墓じまいとセットで考える必要はないのです。
これは、現在のお墓がある寺院や霊園が提供しているサービスで、そのお墓をそのまま「永代供養墓」として契約を切り替えるというものです。この契約を結ぶと、将来お墓の継承者がいなくなっても、墓地の管理者が責任を持って供養と管理を続けてくれます。そのため、自分たちの代で管理ができなくなった後も、お墓が無縁墓として荒れ果てたり、強制的に撤去されたりする心配がなくなります。
この方法の最大のメリットは、先祖代々受け継いできたお墓そのものを残せる点にあります。墓じまいをして墓石を撤去することに抵抗がある方や、親族の反対が強い場合に、有力な折衷案となり得ます。
ただし、全ての寺院や霊園がこのサービスに対応しているわけではありません。また、永代供養料としてまとまった費用が一度に必要になります。契約内容も様々で、どこまでを管理してくれるのか、供養はどのように行われるのかを事前に詳しく確認することが不可欠です。
お墓の継承に不安はあるけれど、墓じまいには踏み切れないという方は、まず現在のお墓の管理者に、永代供養への切り替えが可能かどうかを相談してみる価値はあるでしょう。
改葬許可申請の手続きと流れを知る
墓じまい(改葬)を行うには、法律に基づいた行政手続きが必須であり、その中心となるのが「改葬許可申請」です。この手続きは、ご遺骨の無秩序な移動を防ぐために設けられており、市区町村長の許可なくご遺骨を動かすことはできません。手続きは少し複雑に感じられるかもしれませんが、順を追って進めれば決して難しいものではありません。
一般的な手続きの流れと必要書類を、以下の表にまとめました。
ステップ | 行うこと | 主な必要書類・入手先 |
1 | 新しい納骨先(改葬先)の決定 | 受入証明書(または永代使用許可証など) →新しい納骨先の管理者から発行してもらう |
2 | 埋葬証明書の入手 | 埋葬(収蔵)証明書 →現在のお墓の管理者(寺院・霊園)に発行してもらう |
3 | 改葬許可申請書の準備 | 改葬許可申請書 →現在のお墓がある市区町村の役場で入手。Webサイトからダウンロードできる場合も多い |
4 | 役場への申請 | 上記の3種類の書類を、現在のお墓がある市区町村の役場に提出する |
5 | 改葬許可証の受領 | 書類に不備がなければ、役場から改葬許可証が交付される |
6 | ご遺骨の取り出し | 現在のお墓の管理者に改葬許可証を提示し、ご遺骨を取り出す |
7 | 新しい場所への納骨 | 新しい納骨先の管理者に改葬許可証を提出し、ご遺骨を納める |
注意点として、改葬許可申請は、ご遺骨一体につき一枚必要になるのが原則です。また、申請者は現在のお墓の使用名義人(墓地使用者)でなければなりません。手続きを始める前に、誰が使用者になっているかを確認しておきましょう。自治体によって書式の名称や必要書類が若干異なる場合があるため、必ず事前にお墓のある市区町村役場に問い合わせることをお勧めします。
最終判断、墓じまいが必要か考えるために
この記事を通じて解説してきた様々な情報を踏まえ、最終的に「墓じまいが必要か」を判断するための重要なポイントを以下にまとめます。ご自身とご家族の状況に照らし合わせながら、一つひとつ確認してみてください。
- 墓じまいは墓石を撤去しご遺骨を別の場所へ移すこと
- 継承者不在や管理の困難さが墓じまいを考える主な理由
- お墓を無理なく維持できるなら必ずしも行う必要はない
- お墓を放置すると最終的に無縁仏として整理される可能性がある
- お墓の放置自体に直接的な罰則はないが法律上の手続きが関わる
- 円満に進めるには親族との丁寧な事前相談が最も重要
- メリットは将来にわたる管理の身体的・経済的負担がなくなること
- デメリットは高額な初期費用と親族間トラブルのリスク
- 費用相場は複数の石材店から見積もりを取って正確に把握する
- 「改葬許可申請」という行政手続きが法律で義務付けられている
- 手続きをスムーズに進めるには新しい納骨先を先に決めておくことが鍵
- 墓じまい後の供養方法には永代供養、納骨堂、樹木葬、散骨などがある
- 新しい供養方法はライフスタイルや価値観、費用に応じて選ぶ
- 後悔しないためには感情論だけでなく客観的な情報収集と検討が不可欠
- 最終的な判断は、自分と家族の現在、そして将来を冷静に見据えて行う