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墓じまいは何回忌が最適?失敗しないタイミングと注意点を解説

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墓じまいは何回忌が最適?失敗しないタイミングと注意点を解説

お墓の継承者がいない、あるいは遠方に住んでいて管理が難しいといった理由から「墓じまい」を検討する方が増えています。しかし、いざ墓じまいを考え始めると、どの時期、どのタイミングで進めるべきかという疑問に直面するのではないでしょうか。

特に、故人を供養する大切な節目である年忌法要に合わせて行うべきか、多くの方が悩む点です。例えば、比較的早い段階の3回忌や7回忌、13回忌が良いのか、それとも弔い上げとされる33回忌や、さらに先の50回忌まで待つべきなのか、判断は容易ではありません。

この時期やタイミングの選択を慎重に行わないと、費用負担の問題や親族とのトラブルに発展し、後になって失敗したと後悔するケースも見られます。また、墓じまい後のご遺骨をどう供養するのか、永代供養など先のことも含めて計画的に進める必要があります。

この記事では、墓じまいを何回忌に行うべきかという疑問に対し、法律や慣習、さまざまな状況に応じた考え方を分かりやすく解説します。

  • 墓じまいと年忌法要の基本的な関係性
  • 各回忌をタイミングとするメリットと注意点
  • 回忌にこだわらない墓じまいの判断基準
  • 後悔しないために必要な準備と親族への相談方法
目次

墓じまいと何回忌のタイミングに関する基礎知識

墓じまいと何回忌のタイミングに関する基礎知識
  • そもそも墓じまいとは?目的と流れを解説
  • 墓じまいに法律で定められた期限はない
  • 年忌法要を一つの区切りとする考え方
  • 故人を知る親族が集まりやすいタイミング
  • 3回忌で墓じまいを検討するケース
  • 7回忌や13回忌も選択肢の一つとなる

そもそも墓じまいとは?目的と流れを解説

墓じまいとは、現在使用しているお墓を撤去・解体して更地に戻し、その土地の使用権を墓地の管理者に返還する一連の手続きを指します。そして、墓石の下に納められていたご遺骨を取り出し、別の場所で永代供養するなど、新たな形で供養を続けることが一般的です。

この手続きが必要とされる背景には、現代社会が抱えるさまざまな事情があります。例えば、少子化によってお墓を継ぐ子どもがいない、進学や就職で故郷を離れ、お墓が遠方にあって管理が難しい、経済的な理由で墓地の年間管理費の負担が重い、といったケースが挙げられます。

このように、お墓を維持することが困難になった際に、将来的に無縁仏になってしまうのを避けるために墓じまいが選択されるのです。

墓じまいの一般的な手順

墓じまいは、思い立ってすぐにできるものではありません。行政手続きや関係者との調整など、計画的に進める必要があります。

ステップ主な内容注意点
1. 親族間の相談と合意墓じまいの方針と、ご遺骨の新たな供養方法について親族と話し合い、合意を得ます。最も重要なプロセスです。合意がないまま進めると、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
2. 新たな供養先の決定と契約永代供養墓、樹木葬、納骨堂、散骨など、ご遺骨の受け入れ先を決め、「受入証明書」を発行してもらいます。受け入れ先によって費用や供養形態が異なります。複数の選択肢を比較検討することが大切です。
3. 行政手続き(改葬許可申請)現在の墓地がある市区町村の役所で「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入・捺印してもらいます。「埋葬証明書」(現在の墓地管理者)と「受入証明書」(新たな供養先)の添付が必要です。
4. 閉眼供養(魂抜き)ご遺骨を取り出す前に、お墓に宿っている故人の魂を抜くための法要を僧侶に依頼して執り行います。親族が集まる良い機会にもなります。事前に菩提寺や依頼する僧侶と日程を調整します。
5. 墓石の解体・撤去工事石材店に依頼して墓石を解体し、墓地を更地に戻します。取り出したご遺骨を受け取ります。墓地によっては指定の石材店がある場合も。事前に管理者に確認が必要です。
6. ご遺骨の納骨新たな供養先に「改葬許可証」を提出し、ご遺骨を納めます。新たな供養先で開眼供養(魂入れ)や納骨法要を行う場合もあります。

墓じまいに法律で定められた期限はない

墓じまいをいつまでに行わなければならない、という法律上の具体的な期限は存在しません。したがって、お墓の所有者が「今すぐに行動しなければ法律違反になる」と焦る必要はないのです。

しかし、法的な期限がないからといって、無期限に問題を先送りにできるわけではありません。多くの場合、墓地や霊園の利用契約には、年間管理費の支払い義務が定められています。この管理費を長期間滞納すると、契約に基づいて墓地の使用権が取り消され、最終的には墓地管理者によってお墓が撤去されてしまう可能性があります。これは「無縁仏」として扱われることになり、多くの方が避けたいと考える事態でしょう。

そのため、お墓の管理が難しいと感じ始めたら、法的な期限の有無にかかわらず、早めに検討を開始することが望ましいと言えます。墓じまいは親族間の合意形成や煩雑な手続きに時間を要するため、管理費の滞納が始まる前に、計画的に準備を進めることが賢明な判断です。

年忌法要を一つの区切りとする考え方

墓じまいを行う具体的な時期に決まりはありませんが、多くの人が一つの目安としているのが年忌法要のタイミングです。年忌法要は、故人を偲び、冥福を祈るために行われる仏教の儀式であり、故人にとっても遺族にとっても重要な節目となります。

なぜなら、年忌法要は親族が故人のために一堂に会する貴重な機会だからです。このタイミングを利用して墓じまいに関する相談をしたり、事前に合意していた計画を実行に移したりすることで、手続きが円滑に進む場合があります。

また、故人への供養の節目に、お墓の将来について決断を下すことは、遺族の心の整理をつける上でも意味のあることだと考えられます。ただ単に物理的にお墓を撤去するのではなく、「〇回忌の法要をもって、お墓の役目を終え、新たな供養の形に移ります」と故人に報告することで、一つのけじめとすることができるのです。

故人を知る親族が集まりやすいタイミング

墓じまいを進める上で最も重要な障壁の一つが、親族間の合意形成です。お墓は特定個人のものではなく、先祖代々受け継がれてきた一族の共有財産という側面を持っているため、自分一人の判断で進めることは絶対に避けなければなりません。

この点において、年忌法要は非常に有効な機会となります。前述の通り、法要には多くの親族が集まるため、墓じまいという重要なテーマについて、直接顔を合わせて話し合う場を設けることが可能です。普段は遠方に住んでいてなかなか会えない親族にも、墓じまいを検討している背景や理由、今後の供養に関する考えを丁寧に説明できます。

個別に電話や手紙で連絡を取るよりも、その場で疑問点に答えたり、意見交換をしたりする方が、誤解や一方的な反発を招くリスクを減らせます。もちろん、法要の場でいきなり話を切り出して紛糾するのを避けるため、主要な親族には事前に根回しをしておくといった配慮も大切です。

3回忌で墓じまいを検討するケース

3回忌は、故人が亡くなってから満2年で行われる比較的早い段階の法要です。このタイミングで墓じまいを検討するのは、いくつかの明確な理由がある場合に限られることが多いです。

例えば、お墓を建立したものの、その直後から継承者がいないことがはっきりしているケースが考えられます。また、故人の配偶者や子どもなど、最も近い関係者のみで供養しており、他に管理について相談すべき親族が少ない場合も、早い段階での決断がしやすいでしょう。

この時期に墓じまいを行うメリットは、関係者の記憶が新しく、話し合いがしやすい点にあります。一方で、「故人が亡くなってからまだ日が浅いのに、お墓をなくしてしまうのは忍びない」という感情的な反発を招く可能性も否定できません。3回忌という早いタイミングでの決断は、関係者が極めて少ない場合に限定して考えるのが現実的かもしれません。

7回忌や13回忌も選択肢の一つとなる

3回忌では早すぎると感じる場合、次の区切りとして7回忌や13回忌が選択肢に入ってきます。故人が亡くなってから数年が経過することで、遺族の悲しみも少しずつ癒え、より冷静にお墓の将来について考えられるようになる時期です。

この頃になると、お墓の管理を継続していくことの現実的な大変さ(費用、距離、労力など)が身をもって感じられるようになり、墓じまいの必要性について親族の理解も得やすくなる傾向があります。3回忌の時点では感情的に反対していた親族も、時間の経過ととも考え方が変化している可能性があるでしょう。

また、7回忌や13回忌の法要を執り行うことで、故人への供養を十分に行ったという一つの区切りがつき、墓じまいへの心理的な抵抗感が和らぐという側面もあります。ある程度の時間を置くことで、さまざまな準備や話し合いを丁寧に進めることができるのも、このタイミングを選ぶメリットと考えられます。


墓じまいを何回忌に行うか具体的な検討

墓じまいを何回忌に行うか具体的な検討
  • 弔い上げとなる33回忌での墓じまい
  • 50回忌を区切りとする場合の注意点
  • 回忌以外で墓じまいを決断する理由とは
  • 墓じまい後の供養方法も事前に検討する
  • 親族との十分な話し合いが最も重要
  • まとめ:墓じまいを何回忌で行うかの答え

弔い上げとなる33回忌での墓じまい

33回忌は、仏教の多くの宗派で「弔い上げ(とむらいあげ)」とされ、故人の最後の年忌法要と位置づけられる非常に重要な節目です。この日を境に、故人の魂は個としての供養から解放され、ご先祖様の霊と一体になると考えられています。

このため、33回忌は墓じまいを行う上で、最も多くの親族から合意を得やすいタイミングの一つと言えます。長年にわたって故人を手厚く供養し、弔い上げという大きな節目を迎えた上での決断となるため、「役目を終えた」として、お墓を整理することへの理解が得られやすいのです。

ただし、33年という長い期間、お墓を維持・管理し続ける必要があります。その間の費用や労力の負担は決して小さくありません。また、関係者の高齢化が進み、弔い上げの法要や墓じまいの手続きを主導できる人がいるかどうかも考慮すべき点です。計画的に進めるためには、かなり早い段階から将来的な方針を親族間で共有しておくことが鍵となります。

50回忌を区切りとする場合の注意点

33回忌で弔い上げとすることが多いですが、地域や宗派、家の慣習によっては50回忌を弔い上げとすることもあります。このタイミングで墓じまいを行うことも、弔い上げと同様に親族の理解を得やすい選択肢ではあります。

しかし、50回忌を区切りとする場合には、特有の注意点が存在します。故人が亡くなってから半世紀という時間が経過しているため、故人を直接知る人がほとんどいなくなっている可能性が高いです。関係者の世代交代が進み、お墓に対する思い入れや考え方も大きく変化していることが想定されます。

これにより、墓じまいの話し合いがスムーズに進む場合もあれば、逆に「先祖代々の墓をなくすとは何事か」といった、直接の関わりがないからこその観念的な反対にあう可能性もゼロではありません。誰が中心となって話し合いを進め、費用を負担するのかといった問題がより複雑になることも考えられるため、慎重な調整が求められます。

回忌以外で墓じまいを決断する理由とは

これまで年忌法要を区切りとする考え方を中心に解説してきましたが、必ずしも回忌にこだわる必要はありません。むしろ、回忌とは関係なく、現実的な問題に直面したことで墓じまいを決断するケースも多くあります。

物理的な理由

お墓が遠隔地にあり、お参りや清掃に行くだけで時間的・金銭的に大きな負担がかかる場合です。特に、自分自身が高齢になったり、体調を崩したりすると、お墓の管理は極めて困難になります。また、墓地が山の斜面など、アクセスの悪い場所にある場合も、将来的な管理の継続は難しいでしょう。

経済的な理由

お墓を維持するためには、年間管理費の支払いが継続的に発生します。自身の定年退職や収入の減少などにより、この管理費の支払いが家計を圧迫するようになった場合、墓じまいを検討する現実的な理由となります。

墓石の劣化

長年の風雨により墓石が著しく劣化・破損し、修復に高額な費用がかかることが判明した場合も、墓じまいを決断する一つのきっかけです。修復して維持するよりも、これを機に墓じまいをして永代供養などに切り替える方が、長期的な負担が少ないと判断されることがあります。

これらの理由から、回忌のタイミングを待たずして、問題が深刻化する前に墓じまいを実行することは、非常に合理的な選択と言えます。

墓じまい後の供養方法も事前に検討する

墓じまいを考える際、お墓の撤去手続きと並行して、あるいはそれ以上に重要となるのが、取り出したご遺骨を今後どのように供養していくかを決めることです。ご遺骨の受け入れ先が決まっていなければ、役所から改葬(お墓の引っ越し)の許可が下りないため、墓じまいを進めることはできません。

供養方法にはさまざまな選択肢があり、それぞれ特徴や費用が異なります。

供養方法特徴費用の目安
永代供養墓寺院や霊園が家族に代わって永続的にご遺骨を管理・供養してくれるお墓。合祀墓や集合墓など形式は多様。10万円~150万円
納骨堂屋内施設にご遺骨を安置する方法。ロッカー式、仏壇式などがある。天候に左右されずお参りできる。20万円~150万円
樹木葬墓石の代わりに樹木をシンボルとして、その周辺にご遺骨を埋葬する方法。自然志向の方に人気。20万円~80万円
散骨ご遺骨を粉末状にして、海や山などの自然に還す方法。節度とルールを守る必要がある。5万円~50万円
手元供養ご遺骨の一部を小さな骨壺やアクセサリーなどに納め、自宅で供養する方法。他の供養方法と組み合わせることも多い。1万円~30万円

どの方法を選ぶかは、故人の遺志や家族の考え方、予算などを総合的に考慮して決める必要があります。墓じまいの相談を親族とする際には、この新たな供養方法についても具体的な選択肢を示しながら話し合うことで、より建設的な議論が期待できます。

親族との十分な話し合いが最も重要

この記事で繰り返し触れてきましたが、墓じまいを成功させるための最大の鍵は、親族との丁寧な話し合いと合意形成です。これを怠ると、手続きが途中で頓挫したり、後々まで続く深刻な人間関係の亀裂を生んだりする可能性があります。

お墓は、法律上の所有権を持つ人と、実際に手を合わせ供養する人々の「想い」が交錯する場所です。たとえ自分が法律上の権利者であっても、他の親族の想いを無視して事を進めるべきではありません。

話し合いの際には、なぜ墓じまいをしたいのかという理由を、感情的にならずに具体的に説明することが大切です。例えば、「自分も高齢になり、あと何年お墓の管理ができるか分からない」「子どもたちに負担をかけたくない」といった切実な事情を丁寧に伝えることで、相手の理解を得やすくなります。

また、相手の意見にも真摯に耳を傾け、反対意見が出た場合には、その理由や懸念点を深く理解しようと努める姿勢が不可欠です。時間と手間を惜しまず、関係者全員が納得できる着地点を見つけることこそ、円満な墓じまいへの唯一の道と言えるでしょう。

まとめ:墓じまいを何回忌で行うかの答え

墓じまいを何回忌に行うかについて、唯一絶対の正解はありません。それぞれの家庭の事情や考え方によって最適なタイミングは異なります。この記事で解説した内容を基に、ご自身の状況に合った選択をするためのポイントを以下にまとめます。

  • 墓じまいとはお墓を撤去し、ご遺骨を新たな場所で供養すること
  • 墓じまいに法律で定められた期限はない
  • ただし管理費の滞納は無縁仏につながるリスクがある
  • 年忌法要は親族が集まりやすく話し合いに適したタイミング
  • 3回忌での墓じまいは関係者が少ない場合に検討される
  • 7回忌や13回忌は気持ちの整理がつきやすい時期
  • 33回忌の弔い上げは最も合意を得やすい節目の一つ
  • 50回忌は関係者の世代交代が進んでいる点に注意が必要
  • 回忌に関わらず、物理的・経済的な理由で決断するケースも多い
  • お墓へのアクセス困難や管理費の負担が主な理由
  • 墓じまいには親族間の合意形成が不可欠
  • ご遺骨の新たな供養先を事前に決めておく必要がある
  • 永代供養、樹木葬、納骨堂など多様な選択肢を比較検討する
  • 改葬許可申請などの行政手続きも計画的に進める
  • 最終的には、家族や親族が納得できる形で決断することが最も大切
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